逃源郷

世界は闇なのか

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『CODE46』

code463.jpg「ウェルカム・トゥ・サラエボ」「イン・ディス・ワールド」のマイケル・ウィンターボトム監督初の近未来SFラブストーリー。『父、帰る』同様、去年劇場で観ようと思って見逃したこの『CODE46』。この監督の音楽センスは秀逸で、映画を見る前に去年サントラを買ってしまった。サントラを部屋で聴いていると、異空間に迷い込んだような心地よさを感じさせてくれる。

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  1. 2005/08/12(金) 01:47:45|
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『父、帰る』

03年度ヴェネチア国際映画祭、グランプリ金獅子賞と新人監督賞をW受賞した、ロシアの新星アンドレイ・ズヴャーギンツェフ監督の長編第一作目。
去年、劇場で観ようと思って見逃したこの『父、帰る』。前回書いた『エレファント』同様、もうこの映画も半端なく画が綺麗。色が鮮明。空の青と木々の緑と。それらの美しさが独立していて、毅然としていた。どうやらこの監督は、岩井俊二同様CM出身らしい。
母子家庭の親子の元に、突然何年かぶりに父親が姿を現す。そして、父と兄弟と3人でキャンプをしに行く。父親は何も語らない。兄は久しぶりに会った父親に愛着を示し、弟は反対に反発心を抱く。

            「何でいまさら帰ってきたんだ。」

20050809234240.jpg途中父親のなぞの行動が暗にほのめかされるけど、最後まで父親が何をやっていたかは明らかにされない。ただ、物語に共産主義の終わりという社会的背景があるのは、なんとなく感じられた。自分は、父親は元ソビエトの秘密工作員か何かだと思った。それか軍人。だから、子供への愛情の示し方が分からない。ただ、命令する者と命令される者のような権力関係に陥っている。権力を誇示するわけではないけども、愛情の示し方が下手な点は、自分の父親に似てるなと思った(笑)正直うちの親父も何の仕事をしているのか今イチよく分からないし(笑)無口だし。背中で物語るって感じですかね。

20050809234251.jpgやっぱり権力を誇示しようとする父親と、それにあながう息子って反発しあうものなのかな。でもそういった関係性の中で、子供は社会的なノウハウを父親から自然と受け継いでいく。最後、残された子供たち二人はどこかたくましかった。

ボンボンな家庭で育った末っ子の父親は、酒は飲まないし、パチンコはやらないし、タバコもギャンブルもやらない。あーしろこーしろだのと指図するわけでもなく、仕事の愚痴をこぼすわけでもなく、飛行機が好きで、国土交通省に入って、独りで何年も単身赴任をして、定年後には後ろで手を組んでぼんやりと家の外の庭を眺めてるんだろうな。多くを語らない父親は、何か多くのものを秘めている。

ともあれ、父親が軍人じゃなくてよかった?


20050809234228.jpg

  1. 2005/08/09(火) 23:45:24|
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『エレファント』

2003年度、カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールと監督署をW受賞した「グッド・ウィル・ハンティング旅立ち」、「ジェリー」のガス・ヴァン・サント監督作品。
この「エレファント」の題材は、1999年4月20日、ヒトラーの誕生日にアメリカコロラド州コロンバイン高校で実際に起きた銃乱射事件。監督はその原因を劇中で突きつける事はせず、高校生の日常をリアルに紡ぎ出し、ドキュメンタリーに近い手法を取っている。もう、あきれるくらい映像が綺麗。秋の青く、そして少し淀んでいる雲と、木々の枯葉と。美しさと悲哀さが混同している。

高校の廊下はだだっ広い。その空間的広さが、どこか人的つながりの薄さを感じさせる。

生徒一人ひとりに与えられた、選択と行動の自由。にもかかわらず、上からの締め付けは厳しい。自由と規律のジレンマ。

まだ、自我なんて固まっていないのに。やりたいことが分からず、自分という人間が分からないがために、路頭を彷徨い、行き場を見失う。
「自分は一体、何処へ行けばいいのですか?教えてください、先生。」
「それはね、自分で探して見つけるものなのだよ。」


隣の席に座るクラスメートは、ただのクラスメートであって赤の他人。
同じ部活やクラブに属さない限り、人間同士の繋がりを保つことが出来ない。
「教科書忘れたんで、見せてくれますか?」
「はい、いいですよ。」

授業終了のチャイムと同時に、くっついていた机が離れる。
ハイ、終わり。

相手は人間か?はたまた、ただの固体か?
怒りなんて、憎しみなんて、ない。
ただ、人を人であると思えない、憐憫の情がないだけ。
「自分のことが分からないのに、相手の苦しみなんて分かるはずないじゃないか。」
「痛いの?本当に?ただ、血が出てるだけでしょ。」


放課後の校舎の静けさ。
どこからか鳴り響く、吹奏楽の練習の音。
普段はせわしないはずの、その人気のない廊下に、何故か居心地の良さを感じる。

叫びたい。
張り裂けて、爆発しそうなこの身体。

こんなに、苦しんでいるのに。
誰もこの存在に、気づいてくれない、見てくれない。

走って。
走って。
走って。
ただ、わけもなく。


「ネエ、ミテヨ!ボクハココニイルヨ!」
「ネエ、ミテヨ!ワタシハココニイルヨ!」



今日も、学校を休んだ。


ere.jpg


  1. 2005/08/02(火) 03:16:38|
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『ユメノ銀河』

 「エンジェルダスト」「水の中の八月」の石井恥互監督の1997年度作品。
yume3.jpgビデオ屋で、モノクロ風のパッケージとそのタイトルが前から気になっていたので借りてみた。原作は、日本探偵小説三大奇書の一つとされている小説「ドグラ・マグラ」を書いた作家夢野久作の短編小説「少女地獄」の中にある「殺人リレー」を基にしたものらしい。有名な作家であるようだけど、この作品で初めてその名前に触れた。
 戦後間もない地方都市。バスの女車掌として働く小峯麗奈演じる主人公トミ子の会社に、ある日運転手として浅野忠信演じる新高が配属されてくる。不思議な魅力を持つ新高に、次第に惹かれていくトミ子。しかし彼は、女車掌と恋に落ちては次々に彼女達を死に追いやるという疑惑があり、それが女車掌の間で噂になっていた。新高に疑惑の目を向けるトミ子。彼の本当の真意を探ろうとするが…。

yumeno2.jpg映像はモノクロームで、しかも昭和の古めかしい雰囲気が見事に再現されている。ちなみに、撮影は千葉県の野田市で敢行されたようだ。
 ”単調でスリルのないこの現実を生きるよりも、恋に落ちて死へ至ることを選ぶ。”映画の主張は、この一言に尽きるのだと思う。トミ子は、単調でしかも運転手から道具のように扱われる車掌としての毎日から逃避したいと思っている。そんな時に目の前に現れた新高は、彼女にとって新鮮で退屈な現実に一つの刺激を与えてくれたのだろう。もしかしたら、彼の手によって命を奪われてしまうかもしれないのに…。
 最後、トミ子は結局新高を信じきれずに、バスは事故に遭いトミ子だけが助かってしまう。新高を愛していたはずなのに、最後まで疑いを消すことの出来なかったトミ子。身ごもった子供を、後悔の念と共に、彼の身代わりとして育て続けるのかもしれない。


監督石井恥互のフィルモグラフィー→all cinemaオンライン
原作者夢野久作情報→フリー百科事典ウェキペディア


yumeno.jpg


  1. 2005/07/27(水) 21:33:47|
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『誰も知らない』

 04年度カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した、「幻の光」「ワンダフルライフ」の是枝裕和監督の去年公開作品。
daremo4.jpg実はこの「誰も知らない」、去年舞台挨拶を兼ねて有楽町シネカノンに朝早くから赴いたのだけど、何とその日1日全部のチケットが売り切れていて、舞台挨拶どころか映画自体観れずに、そのまま千葉にとんぼ返りしたという苦い経験のある映画だ。その後劇場で観て以来、もう一度どうしても観たかったので、先日DVDを借りてきた。
まず何がいいって、やっぱり子供たちの自然な演技。監督はドキュメンタリー出身だけあって、役者は演技をしているのか、それとも普段の会話を隠し撮りしているのか分からなくなるくらいナチュラルな動きを役者から引き出している。あと、YOUの無責任だけど、どこか憎めない母親役も見事にはまっていた。

daremo6.jpg映画は途中で母親が家を出て、子供たちだけの生活が始まる。それにしても長男明の、弟妹を守り抜こうとする責任感、そして家を出たのにも関わらず変わらない愛情を母親に抱く子供たちの無垢な心は、一体何処から芽生えてくるのだろう。子供たちは母親がいないのに、泣き喚いたりしない。ただ、窓のそばで帰りを待つだけだ。母親の不在はやがて、子供たちだけの生活を退廃へと導いていく。夏の蒸し暑さが、それに拍車をかけてどうにも痛ましかった。やっぱり、子供たちだけで生活をしていくには限界があるのかもしれない。

daremo5.jpgあとラスト、妹の亡骸を土に埋めた後、朝焼けの中を明と紗希が橋の上を歩き進むシーン。その夏の朝の涼しさと、まだ熱くない朝日と、静かな街の佇まいが、何故か小学生のときのラジオ体操を思い出させた。そして、何故か泣けた。記憶の彼方にあった、忘れていたはずのイメージが体の中によみがえる。夏休みの朝の静けさ。そんな夏を過ごしていた事を思い出した。


是枝裕和監督オフィシャルHP→http://www.kore-eda.com/
「誰も知らない」DVD情報→アマゾンHP
ドキュメンタリー「誰も知らないができるまで」DVD情報→アマゾンHP
事件の元ネタ→西巣鴨子供置き去り事件
挿入歌「宝石」を歌っているタテタカコさんの公式HP→http://www.tatetakako.net/

daremo7.jpg


 ちなみに去年この映画を観た後、ミーハーなので中野の高円寺に行ってロケ地巡りをしてきました。といっても見つかったのは明が通った商店街と、後半で明と茂がけんかした空き地の二箇所だけ。かなり歩いた挙句、アパートと三角道路は見つからず…。せっかくなので、そのとき撮ってきた二枚の写真をアップします。

明が通ったであろう高円寺の商店街
daremo.jpg


明と茂がけんかしたであろう空き地
(明がミニカーを蹴飛ばした所)
daremo2.jpg



  1. 2005/07/26(火) 04:22:38|
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歩く、人

 今年度カンヌ国際映画祭で、邦画で唯一コンペ部門に出品された「バッシング」の小林政広監督の2001年度作品。
20050628030346.jpg今年のカンヌで名前を知ったこの監督の映画をはじめてみた。まったくといっていいほど無名で、超低予算であろう映画にもかかわらず、緒方拳や香川照之などの有名な俳優がでているし、よくできている作品でもあった。そのカメラワークも独特で、基本的に引きの画と役者の顔のアップの画面で構成されている。しかもなぜか全編声がアフレコで収録されている(多分。声と口に戦隊もののように違和感があった)。

20050624012929.jpg 内容としては、北海道の片田舎に住む家族の事情を淡々と描いている。妻を亡くして寂しさつのる老人緒方拳と、彼と2人きりで過ごし彼の面倒を見ている次男、そして家族を捨ててミュージシャンの道を志すが、半ば希望を見失っている長男。家族の崩壊という、ともすれば重くなってしまいそうなテーマだが、作り的には軽快な音楽と重く苦しい現実をあざ笑うかのような役者の演技で、コメディ仕立てになっている。苦しい現実なんて笑い飛ばしてしまえばいいんだ、と思ってしまった。
 映画の中で一番かわいそうだったのが、父の世話をしている次男だった。父のために自分のやりたいことをずっとがまんして、彼女にも時間の都合がつかず会えずじまい。結果、彼女にも振られてしまう。そしてその怒りを父親にではなく、長男の兄にぶつけていたところに弟の優しさを感じた。多分、本当に父を想っていたんだろうな。本人も嫌で世話してるわけじゃない、と言っていた。善良な人間だ。自分よりも他人の人間。そういう人は早死にするというが…。だからといって、長男を責める事もできないと思った。長男は家族よりも自分の夢を優先している。それもかなりの苦労がいるんじゃあないかなあと思った。長男は家族の力を借りずに、自分一人の力で生きている。きっと、家族を捨てたことに後悔もしていたんだろうな。うん、あの兄弟は反発しあいながらもお互いの生き方を認め合っているような気もした。

arukuhito.jpg 父親は父親で、妻がなくなった3回忌直前に、なじみの女性に会うために歩いて遠く離れた地に通っている。人の助けを借りないと、生きてはいけない老いの悲しみを感じた。だから、せめて好きな女性と会うときだけは人の助けを借りずに、ひたすら雪の中を歩いて行ったのかな。最後、次男がかぶせようとするジャケットをひたすら拒もうとする父親の姿は、男の意地とプライドを感じさせてくれた。
 この映画の人物たちは、みな何かしらの現実の苦しみにもがいているが、それをコメディとして軽快に描いているところがこの映画の魅力だと思う。それでも決して楽観視せずに、現実に対してちゃんと直視しているところもなお良い。新作の「バッシング」はイラク人質事件を題材に扱っているというので、こちらもぜひ期待したい。




  1. 2005/06/24(金) 01:25:21|
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ピアニスト

 今年度カンヌ国際映画祭で、監督賞を受賞したミヒャエル・ハネケ監督の’01年度カンヌグランプリ他3冠に輝いた作品。
 ケン・ローチ同様、やはり以前から気になっていたこの映画をやっと観ることができたが、正直何が良いのかさっぱり分からない映画だった。マゾ癖のある40代のおばさんピアニストとその教え子の青年との歪んだ愛を描いているのだが、その2人の愛の描き方が単なるSEX描写だけにとどまっているような気がしてならなかった。男女2人が出会ったらすぐにSEXを始めるという、いかにもフランス映画丸出しで、以下にフランス人が性に対する欲求が強いのかが分かる(フランス人に限った話ではないかもしれないが…)。今まで恋愛など経験したことの無いであろう生真面目なおばさんが、青年の一方的でかつ情熱的な愛情に取り込まれていき、そして理想と現実のギャップを痛感し打ちのめされていく様は何だか惨めな姿だった。別れた後青年は何事も無かったかのように彼女に笑顔で挨拶するのに対し、彼女は自ら胸にナイフを突き刺す。心の痛みを現実の痛みへと変えて、少しでも傷を癒そうとしたのだろうか。青年はこれからもいろんな恋愛を経験していくのだろう。なんだかおばさんが青年の踏み台にされた感じがして、なお惨めで哀れだな。
 ところでこのカンヌ映画祭と言うのは、とかくこのような歪んだ愛情劇をグランプリにするな。「奇跡の海」が特にそうで、半身不随となった夫への愛のために自ら娼婦となって身を引き裂かれていく女性のという、これのどこが愛情なんだ!と怒りで身がよじれてしまいそうになる作品だった。あとこの「ピアニスト」は主演女優&男優賞をダブル受賞しているが、とかくカンヌは無機質・無表情な役を演じている役者に賞をあげている。「息子のまなざし」とか「過去のない男」とか。オーバーで過激な演技をするハリウッドに対抗してるのかな?
 とにかくこの映画は、こんな男女の関係もあるんだなと実感させられる映画だった。ただ、それだけだったような…。


20050619031930.jpg

  1. 2005/06/19(日) 03:15:59|
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空の輪

例えば
あなたが死んだら、もしも自分で自分を殺してしまうようなことがあれば、僕はどうするのでしょう。
あなたを救えなかったことを、後悔するのでしょう。
あなたに対して、何もしなかった自分を悔やむのでしょう。
あなたの苦しみは理解していたはずなのに。
無念ばかりが残るのでしょう。
助けを求めていたのでしょうか。
気づいていたけど、どうしていいか分からず、何もしませんでした。
無力で愚かな自分を、後悔し続けるのでしょう。
あなたを想って、ただ泣くだけでしょう。

空の輪にはまっています。
自分の力を、この世の中に振りかざすことのない、空の輪に包まれています。
空の輪から抜け出せません。
ただ、そこから世界を眺めているだけです。

自分の力の限界を感じます。



それにしても、最近あんまり映画を観ていないな。レンタルしてもほとんど観ずに返してしまうことがほとんどだ。ビデオでは、去年劇場で観れなかった「オールドボーイ」とか「2046」とか「ドリーマーズ」とか「CODE46」とか他にもたくさんある。映画館ではこれからマイク・リーの新作が始まるし。やっぱり、映画を劇場で観ているときが一番心地よい時間なのかもしれない。そう、きっとそうだ。


kara.jpg

  1. 2005/06/12(日) 00:49:18|
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アバウト・シュミット

 近頃劇場で見た「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペイン監督作品。
 この監督の作品は「サイドウェイ」を含め2本目で、その「サイドウェイ」は、仕事や夢にも希望が見出せない40歳目前の中年おじさんのロードムービーだった。今回観た「アバウト・シュミット」は、定年を終えた初老の男が、妻に先立たれ新たな人生に希望を見出せない話で、どこか前作と主人公の立場が年齢は違えど似通っている。主人公と年齢や境遇が似通っている人が観れば、どちらともかなり共感できる映画だと思う。自分はそのどちらともかぶる所がないので、正直映画に感情移入はできなかったが、「サイドウェイ」はサークルにいる知り合いの39歳のOBに、「アバウト・シュミット」はもうすぐ定年を迎える自分の父親に是非観てほしいと思った。
 内容としてはどこにでもいそうな初老の男が、これまたどこにでもありそうな退職後の暇のつぶしかたに悩んでいる。そして妻に先立たれた後、妻の昔の浮気が発覚して怒ってその相手を殴りに行ったり、旅中に出会った女性になぐさめられていきなりキスをしかけるなど、初老にはそぐわない(?)と言ったらおかしな言い方になるが、老えども性欲、いや恋愛感情は衰えないものだという、21歳の自分から見て老人のパワーのすごさがうかがえた。ウディ・アレンとか「ハウルの動く城」でもそうだったけど、恋愛に年齢制限はないということなのだろうか。あと一人娘結婚を妨害しようとするところなんかは、親の子供への強すぎる愛情というか、独占欲がうかがえたな。親バカというかなんというか。親は子供が大人になっても、いつまでも子ども扱いするものなのかな。自分の両親も、自分のことをいまだに一人の大人としてみていない気がするし、やたら自分の昔話を持ち出すし。それはともかく、主人公と花婿は一生仲良くできないんだろうな(義母と花嫁もしかり)と、毎朝やっている「ど?なってるの!?」ではないが、そう思った。
 あと最後に、ジャック・ニコルソンの演技が素晴らしかった。よくもまあ、こんな超低予算な映画に、こんな超スターが出演してくれたこと。しかもそのスターが超普通のどこにでもいそうなおじさんを演じていて、それが見事にはまっている。オーラを完全に消していたな。それにしても、ジャックの老けぶりにショックを隠せなかった。「カッコーの巣の上で」で見た彼の若さと狂気じみたアナーキーのオーラはいずこへ。あの頃、ジャック・ニコルソンはかっこよかった…。今の彼は腹は出てるし、頭ははげてるし、しわだらけだし、太ってるし、老眼鏡はかけてるし…。若さって素晴らしいことなのかも(?)


abaut.jpg

  1. 2005/06/10(金) 01:50:42|
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ワンダフルライフ

 「誰も知らない」、「ディスタンス」の自分が大好きな是枝裕和監督の長編第2作目。尚、この感想は去年の6月の自筆の日記からの抜粋なので、あしからず。
 これまたいい映画にめぐり合ってしまった。こう、立て続けにいい作品並ぶと、かえって後が怖くなる。
 と、ワンダフルライフ。まさに、”人間の生の素晴らしさ”を、真摯に描いた美しい作品。前半のあまりにもリアルな役者の自然体からなるインタビュー。そして、そこで繰り広げられる使者たちの生のエピソード。それらを聞いているうちに、実際に自分も彼らの生を経験したかのような錯覚に陥ってしまう。それほどリアル。おそれく、役名と本人名一緒だと思う。伊勢谷しかり。そして、そのあまりにもリアルすぎる死者たちの生が余計に、最後の別れを痛いほど悲しみに満ちたものとして感じさせる。人間の死。存在が消えることが、これほどまでに悲哀に満ちたものだということを痛感させてくれる。その別れの日。建物の外には雪。静かに降り注ぐ雪。そして、体育館の中からかすかにこぼれる管楽の音。トランペットやカスタネットの音。泣きそうになった。凄まじいほどの郷愁。自分が昔経験した風景。別れの日は決まって寒く、雪が降っていたような気がする。
 そして、キーワードとなる小田エリカの存在。「これ以上人から存在を忘れられるのは怖い」。好きな相手にさえ、存在を忘れられてしまう。しかし、自分はその好きな人の存在を胸に抱き続け、これからも生きていく。自分もいつか他人の心に残る存在になることを願いながら、生きていく。泣きそうになった。自分の存在を確認できるのは、他者との関係においてだけなのかな。生きた証など存在しないのではないか。他人の記憶の中でいき続けること。それが存在の証。生きた証。
 最後に異端児伊勢谷の存在感の強さ。みなが過去の経験の中から死後に抱くことのできる記憶を探す中で、彼は未来や希望、夢を見据える。過去に縛られずに、未来を見据えよう。若者のあるべき姿なのかな。ラスト、その伊勢谷がこれから一波乱起こすのかという想像を喚起させて映画は終わる。小田エリカの成長。始まり、そして終わり、また始まる。人生は続いていく。
 
 なお、この「ワンダフルライフ」は去年自分が観た、劇場とレンタルをあわせた、映画の中で「モンスター」、「エレファント」に続き2004年度ベスト3に入る作品です。これを、映画館のスクリーンで是非観てみたかった。ちなみに、この映画をきっかけに映画の見方が変化したような気がする。映画が意図しているメッセージを自分なりに解釈して、考えられるようになったような。さらには、その思考のあとを文字にして言語化するという、映画を観たあとの作業もこの映画を観てからできたような。今でこそ、当たり前のことになっているけど。”遠足は家に着くまでが遠足ですよ”と言うように、映画を観るという行為も映画を観たあと、あれこれ思索して感想を書き終えるまでが、映画を観るという行為の流れのうちの一つなのかもしれない。


20050602235916.jpg

  1. 2005/06/02(木) 23:58:31|
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