逃源郷

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弱者を救う思想

今回は
小泉信三 『共産主義批判の常識』 1949年 講談社学術文庫
を紹介します。
この本は、かねてから興味があった社会主義・共産主義に関する知識を得たいと思い読み始めました。かなり古い本ですが、史実と文献分析に基づいて忠実に書かれているので、時代性を感じることはほとんどなく、分かりやすく読みやすいものでした。
自分がそれまで抱いていた共産主義とは、いわゆる”左翼的”だとか、マイノリティーでちょっと危ない匂いをかもし出しているイメージでした。ただ、それはあくまで誤った先入観であることを、この本は証明してくれました。共産主義の根本にある思想は、暴力でも一権独裁でもなく、あくまで弱者を貧困から救い、彼らに自由で平等な権利を提供するところにあります。
共産主義に対するマイナスなイメージが蔓延しているのは、おそらく社会主義国ソ連の崩壊が要因の一つとしてあるように思えます。ソ連はレーニンやスターリンによって、マルクスの思想を受け継いだ形で国づくりが行われていきました。しかし、2人はマルクスの思想を誤って解釈し、間違った方向にソ連は進んでしまったと、作者は主張しています。ソ連では貧困から救うために、国が食物を民衆に提供する代わりに、強制的に民衆を労働に駆り立てていたというのです。よく知られているように、それは囚人労働と呼ばれていて、人々の間には思想や言論の自由などほとんどといっていいほど無く、人間が持つ自由な権利など存在していなかったようです。ソ連崩壊後に明らかになった社会主義国の実態が原因で、共産主義に対する不信が蔓延しているのだと思います。かくいう自分も、この本をバイト先の合間に読んでいたら、隣に座っていた先輩の女性に「何でこんな本読んでるの!?気持ち悪ーい!!」となぜか引かれてしまったのを記憶しています。電車で読むときも、カバーが見えないようにこっそり読んでいました。
ともあれ、共産主義の思想を紹介しながら、あくまで作者はタイトル通り共産主義を批判しています。マルクスが主張する共産主義には、”プロレタリア革命が起こるには資本主義の崩壊が必然である”という主張が存在します。つまり、世の中に貧困が生まれるのは資本主義が原因で、その成長が貧困をますます生み出し、それが崩壊すれば世の中から貧困は無くなり弱者の立場はよくなるというのです。しかし、作者はヨーロッパの資本主義国を例に取って、資本主義が成長すればするほど市民の生活が苦になるどころか、逆に生活の質は向上し貧者は少なくなっていくと主張しています。そしてそのためには、よく働き勤勉しなくてはならないと声高にさけんでいます。つまり、共産主義における革命は資本主義の崩壊をじっと待たなければならないのです。資本主義の崩壊なしに、革命など起こりえないのです。資本主義は悪の権化どころか、あらゆる社会システムの中では、相対的に比べると圧倒的に優位なシステムであり、それが崩壊することは今ではもう考えられないでしょう。
今日、共産主義は終わった思想だといわれていますが、”弱者を救う”という根本にある思想は受け継いでいくべきであり、それがこの思想のもつ永遠の魅力なのだと思います。
ちなみにこの本は、搾取論や経済システムに関する言及もなされているので、何度でも読み返すことのできる共産主義の格好の入門書であると思います。
もうひとつ、今読んでいる
今村仁司 『マルクス入門』 2005年 ちくま新書
もマルクスが掲げた思想を知るのに役立つ本です。






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  1. 2005/06/21(火) 02:04:39|
  2. 本について|
  3. トラックバック:0|
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