逃源郷

世界は闇なのか

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歩く、人

 今年度カンヌ国際映画祭で、邦画で唯一コンペ部門に出品された「バッシング」の小林政広監督の2001年度作品。
20050628030346.jpg今年のカンヌで名前を知ったこの監督の映画をはじめてみた。まったくといっていいほど無名で、超低予算であろう映画にもかかわらず、緒方拳や香川照之などの有名な俳優がでているし、よくできている作品でもあった。そのカメラワークも独特で、基本的に引きの画と役者の顔のアップの画面で構成されている。しかもなぜか全編声がアフレコで収録されている(多分。声と口に戦隊もののように違和感があった)。

20050624012929.jpg 内容としては、北海道の片田舎に住む家族の事情を淡々と描いている。妻を亡くして寂しさつのる老人緒方拳と、彼と2人きりで過ごし彼の面倒を見ている次男、そして家族を捨ててミュージシャンの道を志すが、半ば希望を見失っている長男。家族の崩壊という、ともすれば重くなってしまいそうなテーマだが、作り的には軽快な音楽と重く苦しい現実をあざ笑うかのような役者の演技で、コメディ仕立てになっている。苦しい現実なんて笑い飛ばしてしまえばいいんだ、と思ってしまった。
 映画の中で一番かわいそうだったのが、父の世話をしている次男だった。父のために自分のやりたいことをずっとがまんして、彼女にも時間の都合がつかず会えずじまい。結果、彼女にも振られてしまう。そしてその怒りを父親にではなく、長男の兄にぶつけていたところに弟の優しさを感じた。多分、本当に父を想っていたんだろうな。本人も嫌で世話してるわけじゃない、と言っていた。善良な人間だ。自分よりも他人の人間。そういう人は早死にするというが…。だからといって、長男を責める事もできないと思った。長男は家族よりも自分の夢を優先している。それもかなりの苦労がいるんじゃあないかなあと思った。長男は家族の力を借りずに、自分一人の力で生きている。きっと、家族を捨てたことに後悔もしていたんだろうな。うん、あの兄弟は反発しあいながらもお互いの生き方を認め合っているような気もした。

arukuhito.jpg 父親は父親で、妻がなくなった3回忌直前に、なじみの女性に会うために歩いて遠く離れた地に通っている。人の助けを借りないと、生きてはいけない老いの悲しみを感じた。だから、せめて好きな女性と会うときだけは人の助けを借りずに、ひたすら雪の中を歩いて行ったのかな。最後、次男がかぶせようとするジャケットをひたすら拒もうとする父親の姿は、男の意地とプライドを感じさせてくれた。
 この映画の人物たちは、みな何かしらの現実の苦しみにもがいているが、それをコメディとして軽快に描いているところがこの映画の魅力だと思う。それでも決して楽観視せずに、現実に対してちゃんと直視しているところもなお良い。新作の「バッシング」はイラク人質事件を題材に扱っているというので、こちらもぜひ期待したい。




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  1. 2005/06/24(金) 01:25:21|
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