逃源郷

世界は闇なのか

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埋もれ木

 「死の棘」「眠る男」の小栗康平監督、9年ぶりとなる最新作。
 正直、今の自分では理解しきれない意味難解な映画だった。客席からは、オープニングあたりから早速寝息と思しき音が聞こえたし、かなり客を選んでしまう映画なのかもしれない。
 物語には、はっきりとしたストーリーは存在しない。登場人物同士の関係性や、行動の理由付けがあいまいに描かれていて、かなりつかみづらかった。監督は、映画にストーリーを求めようとするのではなく、ただ映像に身を任せて感性で持ってこの映画を感じ取って欲しい、というような事を語っている。なるほど確かに自分は最近、ストーリー性があり、主張がはっきりしている映画ばかり観ていた気がする。誰と誰がこういう関係にあるかだとか、なぜあんな行動を取るのかといった事ばかりに目がとらわれていたように思える。要するにこの映画は、見方を誤ってしまったのだ。頭で思索するのではなく、もっと映像の美しさに身を委ねるべきだった。
 でも、大まかなテーマは”喪失と再生”なのかなと思った。岸部一徳が亡くなった娘の形見を、紙灯籠のクジラに吊るすシーンでそう思った。プログラムを見ると、物語に出てくる様々な小道具(埋もれ木やエレファントバード等)は、どれもその”喪失と再生”の意味がこめられた隠喩だったのかな。そういう数々の隠喩が映画の中に散りばめられていて、最後の祭りのシーンでそれが一つとなって昇華する。だから、ラスト、赤い馬とクジラが空へと舞い上がったとき、得体の知れない感動が沸き起こったのかな。映画が訴える主張を、ひょっとしたら無意識のうちに感じ取っていたのかもしれない。
 あと監督はプログラムで、想像性を豊かにして、不可変的な”かたいもの”を可変的な”やわらかいもの”へと変えていこう、と主張している。つまり、停滞感が滞り、もう良くはならない思われているだろうこの社会や世の中は、その見方や想像性、行動によって、いくらでもやわらくし変化を遂げさせることが出来るという事だ。人は目の前に広がる現実を、それがゆるぎない事実であると思い込みがちだ。しかし、それは単に目に映っている物を”見ている”だけであって、”見よう”としているわけではない。考え方を変え、様々な角度から事物を”見よう”とすれば、きっと今までになかった新しい発見が得られるに違いない。
 小谷美紗子の歌に「この社会は本当にもうどうにもならないのでしょうか」という歌詞がある。自分は、大きく言えば、今ある社会に対する不満に対して、何もできずに、何もしないでいる。もう何をしても変わり様がないんじゃないか、という停滞感もある。それでも小栗監督の主張するように、”見よう”とする不断の努力をし続け、かたいものを少しでもやわらかく、いや溶かしてしまうくらいの勢いを持つべきなのだろうか。
 目に見えた社会や世の中の矛盾や悪しき仕組みに対して、自分はどう対処すればいいのだろう。今の自分は、そういった”かたいもの”をやわらかいもの”にしようとしているわけではなく、ただその”かたいもの”に対して抵抗しているだけだ。反発心を抱いているだけだ。それだけではきっと何も変わらない。お金やモノ、規律や教育、法といった現実に当たり前の様に存在する全ての事象に対して、疑問を投げかけ抵抗するしかないのだろうか。
 これから、ひょっとしたらどんどんもうこれ以上見たくはない残酷なものが見えてくるかもしれない。そんな時、爆発してパンクしてしまったらどうしよう?
 ただ、自分は自分のすべきことに忠実に生きていきたい。そうなったら、大切なもの、例えばさるやもっと具体的に言えば、秋田に住んでいる家族を切り捨ててしまうかもしれない。映画「歩く、人」にもあったけど、自分のやりたいことに忠実になっていれば、それだけ自分に責任を持ち、払わなければいけない犠牲も出てくると思う。


 かなり話はそれてしまったが、この高尚な映画は何故か渋谷のど真ん中でやっている。監督曰く、娯楽や派手なアクションにまみれた映画の中にも、こういった特殊なものが存在することを分かって欲しいという願いから、上映しているそうだ。

伝われ、想い。
伝われ、生きる固体から発する電波。
伝われ、そして溶かしてしまえ!!



20050713102021.jpg

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  1. 2005/07/12(火) 02:40:45|
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